前回のコラムでは、アメリカが歯科治療や予防歯科の分野で最先端をいく国だとふれました。では実際に、アメリカの人たちはオーラルケアに対する意識も高いのでしょうか?少し気になったので、関連する調査記事などをいろいろと調べてみました。
あくまで私の個人的な印象ですが、アメリカでは歯並びのきれいな人が多いなと思います。毎日テレビでニュースを見ていると、ちょっとやりすぎ感が高めですが、キャスターの方々の歯の白さや歯並びの美しさには、つい目がいってしまいます。アメリカで生活していると、歯やオーラルハイジーン(口腔衛生)への意識の高さを日々感じます。
アメリカの家庭でよく取り入れられているオーラルケア用品といえば、マウスウォッシュ、デンタルフロス、そして電動歯ブラシ。人気スーパーのコストコはタイムリーな商品展開が得意で、オーラルケアアイテムも定番として充実しています。ソニッケアやOral-Bの電動歯ブラシが常時販売されており、定期的にセールも行われています。私もコストコでセール中にソニッケアを購入して、今では愛用品のひとつです。
そんな中、ある興味深いネット記事を見つけました。文献や学術論文ではないのですが、インビザラインや矯正治療が世に浸透している一方で、実際には多くのアメリカ人が口腔内の健康維持に苦労しているという内容でした。
たとえば、20歳から64歳のアメリカ人のうち、約4人に1人は少なくとも1か所に虫歯があるそうです。また、成人の42%が歯周病にかかっているという調査もありました。特に歯周病は男性の方が罹患率が高く、連邦貧困レベル以下の収入のひとや喫煙者に多い傾向があるとのことです。州ごとにも違いがあり、たとえば2023年のデータでは、18歳以上で12ヶ月以内に歯医者に行ったかという調査で、コネチカット州では74.9%の人が歯医者に行っているのに対し、ミシシッピ州では53%とかなり開きがありました。生活環境や歯科保険の加入率などにも関係しているようで、州ごとに差がでるのはなかなか興味深いですね。
また、6歳から12歳の子どもには、虫歯予防として「デンタルシーラント」という歯の溝を薄いプラスチックで覆う処置をCDC(米国疾病予防管理センター)が推奨しているようです。こちらでは大人でも勧められることがあるようで、私の知人も最近歯医者さんに勧められて施術を受けたと話していました。歯の表面に被膜を付けるため、最初は少し違和感があるとのこと。日本でもこどもには一般的なようですが、あまり大人には行わない予防治療のようですね。
今回いろいろと調べてみて、アメリカのオーラルケア事情は「全体的に意識が高い」というよりも、「生活環境や貧富による差が大きい」というのが実情なのかもしれません。収入が少ない層では、食生活がファストフード中心になりがちになり、砂糖の摂取量も高くなって、虫歯のリスクが上がる要因にもなります。ただでさえアメリカのお菓子やごはん、飲みもにはたくさんの砂糖が使われています。わたしもお菓子の甘さにははじめ驚きました。あとは、アメリカは医療費が高いことで知られているため、歯科受診自体がハードルになるのかもしれません。
とはいえ、別の調査では、成人の93%が「口腔内の健康は身体の健康以上に大切」と答えており、保険に加入していて適切な治療を受けられる人たちは、日頃から歯のケアにも積極的だということがわかります。またSNSの影響もあって、「白くてパーフェクトなきれいな歯でいること」に対してプレッシャーを感じている人も多いのが現状なようです。アメリカに住み始めて私もそのひとりとなりました。とわいっても見た目ばかり気にするよりも歯と口腔内の健康を維持できているかが大切だと思います。
次回は今お試し中のオーラルケア関連アイテムがあるので、それに関するコラムをお届けしたいと思っています。では、また!